口腔機能診断とは?
ある特定の場所の「歯」や「歯肉」が、周りに比べて弱っていたり問題を抱えているのであれば、何か特別な「事情」がその「歯」や「歯肉」にはあるはずです。
ある「歯」が痛むのであれば、その「痛み」という「症状」を発している場所は「歯髄(神経)」なのか、あるいは、「歯茎」や「歯根膜」や「歯槽骨」などの「歯周組織」なのかを、先ず「特定」しなければなりません。
次に、その「痛み」が「外傷性」のものか「炎症性」のものかを「特定」しなければなりません。「炎症」であれば「細菌性」なのか「外傷性」なのかを「判断」するとともに、「急性期」にあるのか「慢性期」にあるのか、どの「範囲」まで「病変」が拡散しているのか等々と「診断」を進めていき、「痛み」を発している「場所」や「種類」や「病期」などを「特定」していきます。
この「段階」で「自覚症状」がある「歯」の「診断名」が「特定」されます。
そこで、「根っこ」の治療をして、「痛み」の「症状」を取り除くというのが、いわゆる「対症療法」です。
「患者様」は、「痛み」から「解放」されてほっとしているかもしれません。
ところが、まだ、この「痛み」を生む結果に至った、元々の「原因」が突き止められていないのです。
「痛み」を生み出した「元々」の「原因」の話です。
「症状」を「生み出す」に至った、その「根本」の「原因」を知らなければ、一旦「症状」はなくなったものの、「完治」できたのかさえ分かりません。
「痛み」という「自覚症状」は、なくすことができたかもしれませんが、「痛み」を「生じさせた」根本的な「原因」を調べ、その「根本的」な「原因」を取り除いたり、解決しなければ、早晩、また「再発」するか、あるいは、「病態」が次の「ステージ」に「進行」してしまい、結果としてその「歯」の「寿命」を縮めることにもなりかねません。
また、一般的に、何らかの問題を抱えている歯や歯茎に気づいた場合、高い確率でその周りの歯や歯茎にも影響が波及しているものです。
「自覚症状」はないかもしれませんが、気になっている歯や歯茎だけでなく、周りや、時には遠く離れた場所にも病変やその影響が広がっている場合が多いのです。
そのため、気になる所だけの「治療」や「対症療法」では、根本的な解決策にならないことが多く、時には「治療方法の選択」を誤ってしまったり、「治療のタイミング」を逸してしまうことさえあります。
「木」を見て「森」を見ずと例えることができるかもしれません。
「患者様」が気づいた「自覚症状」だけで、お口の中で起こっている「全体像」を知ることや、何故こんな「症状」が生じたのかを知ることはできません。
この「木」は腐っているから「伐採」しようでは、もしかすると「森」で何が起こっているかを「見落とし」、結果として、より多くの「救えた」かもしれない「木々」を「失う」ことになるかもしれません。
お口の中も同じです。
「病気」には、必ず「直接的」、「間接的」な「原因」があり、その「発症」のメカニズムは、皆さんが思っているほど「単純」ではありません。
「病気」の「根本的」な「原因」を知らなければ、「根治的」な「治療」は難しく、「根治療法」なくして「長期的」な「健康維持」と「機能維持」はできません。
「歯科治療」は、「靴」の「修理」ではありません。
「靴」であれば、「壊れ」てしまえば、また「買い」なおせば済むかもしれませんが、「歯」の場合は「保存」できない場合は、「抜く」しか方法はなく、一旦「抜い」てしまった「歯」は二度と戻ってはきません。
しかも、「抜い」て終わりではなく、「抜い」たことによって必ず他の「歯」の「機能」や「健康」に「影響」を及ぼすのです。
お口の中で起こっていることを、「森」のように「一口腔単位」で捉え、どのようにそれぞれの「歯」や「歯肉」が「影響」を及ぼし合い、「病変」を「発症」するに至ったのかを、丁寧に「検査」し「診断」しなければなりません。
お口の中では、それぞれの「歯」や「器官」が独立して「機能」しているわけでなく、相互に「関連」しあい、「補完」しあい、「バランス」をとりながら「健康」を維持し、「機能」しています。
複雑に絡み合った「病因」を特定し、「根本原因」を取り除いていく「根治療法」に必要な、「口腔機能診断」は、「一口腔単位」の「健康」の「回復」、「維持」に不可欠です。
レントゲン診断は元より虫歯診断、歯周病診断、咬合診断(咬み合わせ)、歯列診断(歯並び)、顎関節診断などを総動員してできるだけ正確な診断を行います。
「口腔機能診断」を行うことによって、「再発」の少ない「根治療法」が可能になるだけでなく、将来的な「病状」の「推移」の予測も容易になりますので、「長期的」な「展望」に立った適切な「治療方針」や「治療手段」の選択が可能となります。
「成人の歯科治療」は、今残っている「歯」を如何に「長期間」保存し、「健康的」に「機能」させ、不自由のない快適な「食生活」を送っていただくための「お手伝い」が「主体」となります。
そのために、根本的な「原因」を取り除き「再発率」の低い「治療」を行うだけでなく、「治療後」の将来に渡る「口腔機能」の「推移」をできるだけ正確に「予測」しながら、どうすれば長期間「健康」を「維持」できるのかを読み解き、答えを出すために必要な「診断」が「口腔機能診断」です。
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