歯科治療の耐用年数

歯科治療耐用年数が、どのくらいなのかは非常に重要な問題です。
この問題は、「患者様」にとって、治療によって色んな問題が解決することと、同様に重要な事柄であるはずです。
もちろん、治療を担当する歯医者にとっても、とても大切で重要な問題です。
「受けた治療」どの位もつのか、あるいは、「回復した口腔機能」どの位長く「維持」できるのかは、「選択」した「治療法」や「歯医者」が行う「治療の精度」だけでなく、「治療後のメインテナンス」のあり方や患者様の「抵抗力」などいくつかの因子によって左右されてきます。

ここでは、「患者様」が一度「回復」した「口腔機能」を「長期」に渡って「維持」するために、「必要」かつ「適切」な「メインテナンス」を受けながら、「再発の予防」にがんばっていただいた場合について説明します。

歯の耐用年数
「歯科」で使われている「材料」「治療法」の多くは、「耐用年数」「数年」から「数十年」と想定しています。

「数十年」といっても、「材料」というよりはむしろ、「治療法」や「治療技術」の限界によって、現状では長くても30年ぐらいまでを「治療」の「耐用年数」と捉えることができると考えられます。
もちろん選択する「治療法」「治療材料」などによって、「耐用年数」大きく変わります。
「治療法」や「治療材料」によっては、通常の「耐用年数」が4~5年であろうというものもあります。
「治療」を受けられる時の「ご自身」の「年齢」や、その時点で残されている「口腔機能」の「状態」にもよりますが、「一生持つ治療」というのは、かなり「限定的」なものとなります。
一度「治療」をすれば、「一生」もつような「治療」というのは、理論的には可能ではありますが、全ての「ケース」というわけにはいきません。

「歯科治療」は、「痛み」や歯がなくて「咬めない」というような「自覚的」な問題だけを解決する「対症療法」でなく、お口の中で起こっている問題を「口腔機能」「障害」や「低下」と捉えることが重要です。
「オーラルリハビリテーション」の考え方です。
「患者様」の「人生」「寿命」という「個人的」かつ「かけがえのない大切」な「時間」の中で起こる「問題」「オーラルリハビリテーション」の考え方で捉えると、「耐用年数」ということに対しても考え方が大きく違ってきます。

先に説明したように、現行の「歯科治療技術」「限界」によって、どんなに「最先端」で「最高レベル」の「技術」によっても、あるいは、どんな「名人」が「治療」しても、全ての「治療」が「一生もの」というわけには、残念ながらいかないのが現実です。

しかし、「オーラルリハビリテーション」の考え方に基づいて、「長期的」な展望「将来的」な「予測」の上に計画され、「再発率」が「低く」抑えられた「治療」であれば、万が一、その「治療」の「耐用年数」がきても、きちんと「次の治療」への「バトンタッチ」が上手くいくのです。
「患者様」の「年齢」や「残された口腔機能」の状態によって、当然変わってはきますが、それぞれの「症例」によって、例えば、「二段構え」「三段構え」というように、「計画的」「次の治療」「バトンタッチ」して、「口腔機能」をきちんと「維持」しながら「ゴール」にたどり着くことができるのです。

このような、「健康的」な「口腔機能」を「維持」しながら「次の治療」へと「橋渡し」ができるのは、「オーラルリハビリテーション」の考え方による「長期的」な「展望」と「予測」による「計画診療」の「立案」と「加療」に裏打ちされた「口腔機能」の「維持」であってこそ、それが可能となります。

定期的なメンテナンス

この「次の治療」へのきちんとした「バトンタッチ」が、「患者様」が「想像」している以上に、「口腔機能」の「健康的」な「維持」には、欠かせないことを知っていただきたいと思います。

「口腔機能」の「維持」は、「食事」に「不自由」をしないためだけではなくて、「治療法」の「選択」の上でも、「有利」となります。
「余計」な「インプラント」「大がかりな治療設計」などは、本来は「治療」自体が「後手後手」になっている証でもあります。
一度「失った」、あるいは「障害」を受けて「低下」した「口腔機能」は、「オーラルリハビリテーション」によって「口腔機能」の「回復」や「改善」が達成されたならば、今度は、「長期的」な「維持」に努めなければなりません。

デンタルシート
そのようにして「手に入れ」た「健康的」な「口腔機能」は、「年齢」や「残存歯」の「状況」によっては、「歯科治療」の「耐用年数」の問題で、残念ながら「ゴール」に「たどり着けない」かもしれません。
しかしながら、きちんと「計画的」に「バトンタッチ」ができれば、「ゴール」まで「口腔機能」をちゃんと「維持」することが「可能」となり、「一生もの」の「治療」にもなり得るのです。

これが、「オーラルリハビリテーション」の「優れた」ところです。

そもそも、一般的なものに比べて「歯科治療」の「耐用年数」は短いのでしょうか。

私たちの周りにある「橋」や「高層ビル」、あるいは「古代ローマ」の建築物などは、おそらく人の寿命の何倍あるいは何十倍もの「耐用年数」を想定して作られているはずです。

ところが、前に説明したように「歯科」で使われている「材料」や「治療法」の多くは、「耐用年数」「数年」から「数十年」と想定しています。
「数十年」といっても、「材料」というよりはむしろ「治療法」の限界によって、現状では長くても30年ぐらいまでが「耐用年数」と考えられます。
笑い話ですが、人工の「歯」を「床の間」に置いておけば何百年も持つかもしれません。

コロシアム

「歯科治療」の対象となる「歯」や「歯茎」は、「繊細」かつ「精密」な「神様」から与えられた「唯一無二」の「器官」ですから、現状の「人工物」による「代替治療」では、完全に「元の状態に戻す」ことはできません。
例えば、「インプラント」という「治療法」の「進歩」によって、「失った歯」を「人工的」に復活させるところまでは可能になりましたが、「インプラント」と言えど「失った自分の歯」を元通りに戻すことができたわけではありません。
「失った」自分の「歯」や「歯周組織」などが、再び「再生」する「再生治療」より、一歩手前「人工的」な「組織」や「器官」「移植」という段階の「技術」です。
この「技術」によって、「失われた機能」の「回復」が、従来の「治療法」に比べて飛躍的に「改善」されたことは事実であり、とても有効な「治療手段」の一つと言えることは確かです。
このように、現状の「治療法」が「発展段階」の「途上」にあるからこそ、「ミクロン」レベル「治療精度」や「歯」や「周囲組織」と「調和」する「材料組成」が厳しく求められます。
このような条件を満たした、「程よい」、あるいは「必須」とされる「材料組成」と、本来の「機能」を「回復」するための「治療法」が用意されています。

また、「治療」「耐用年数」は、「治療」自体が「何世代」にも渡って提供され共有されるものではなく、「治療」を受ける「患者様」の「個人的」「寿命」「人生」という特別で限られた時間の中で考えなければならないという「特殊性」があります。
何故なら、より健康で充実した食生活や幸せな「人生」を送っていただくことに「歯科治療」「最終的な目的」が求められているからです。

では、一体「治療」の「耐用年数」は何年ぐらいが相応しいのでしょうか。

「治療」の「目的」から考えて、「人の寿命」ということに注目すると、今や「100才」を超える「日本人」も多くなってきているようです。

そうなれば、「永久歯」に「限定」しても、「90年ぐらい」は、お口の中で「健康的」に「機能」してもらわないといけません。
つまり、「90年」は「口腔機能」を「維持」しなければならないというのが、「成人の歯科治療」「耐用年数」の「目標」になります。

オーラルケア

そこで、実際の「ご高齢者」のお口の中の今現在の「状態」を見てみましょう。

80才の時点で残っている「歯」の数

「厚生省」の統計を見ると「80才」の時点で「日本人」のお口の中に残っている「歯」の数は、「28本」中に僅か「8本」という結果が示されています。
30年前と比べると「6本」ほど増えています。

このことは、いまだに、多くの「ご高齢者」「入れ歯」「総入れ歯」を使って「食事」をされているという事実を表しています。
つまり、「再発」を繰り返しながら、徐々に「歯」を「失い」「口腔機能」が「障害」され「低下」していることを示しています。
実際に自分の周りを見回して見ても、「ご高齢者」が「入れ歯」で食事をされているのは、ごく「当たり前」「普通」の状態に見えるはずです。

一方で、「欧米の先進国」の統計を見ると「80才」の時点でおよそ「16本から22本」「歯」が残っているようです。
この統計が表わす意味は、もちろん「入れ歯」や「総入れ歯」で食事をしている方もいるはずですが、「日本人」と比べると自分の「歯」だけで食事をしている「ご高齢者」がはるかに多いことを「残存歯数(残っている歯の数)」が表しています。

つまり、「口腔機能」の「低下」はあるものの、かなりの「機能」が良好に「維持」されていて、「食事」などでの「不自由」さ明らかに「日本」の「ご高齢者」よりも少ないということが言えます。

「欧米の先進国」の人たちの「歯」や「歯茎」が、特別「日本人」のものより「丈夫」だとか「抵抗力」があるということは、色んな研究からも証明されていません。

この「差」は、例えば、「糸ようじ(フロス)」などの「補助用具」使用頻度の「差」であったり、それぞれの国の「保険制度」の「内容」や「仕組み」の「違い」であったり、「治療結果」に対する「責任」の所在に対する考え方、さらには、「歯」の「健康」に対する「患者様」の「認識」の「差」や「歯科医療」そのものの「優先順位」「専門医」「先進的な治療技術」「普及」の度合いなどの「多岐」に渡る様々な「要因」があると思われます。

現行の「保険制度」に限って言えば、「日本」の場合、「国民皆保険」という、平等で優れた「制度」があるため、「日本中」何処であろうが、「厚労省」「認定」した「水準」「治療」が等しく可能となっています。
「治療」の「内容」はいうに及ばず、「使用」する「材料」も細かく「指定」されています。
「医療」である以上、「患者様」の「健康」を「阻害」するような「治療」であってはならないための「必要」な「指定」です。
ただ、それが「ベスト」であるとは言えないのも「事実」です。

デンタルケア2

そして、その「制度」によって「国民」のお口の中の「健康」を「国」が「管理」していますので、徐々にではありますが、「ご高齢者」の「口腔機能」は改善してきているのも事実です。
ただ、「欧米の先進国」のレベルと比べると見劣りがするということも、一方では事実となっています。
「最先端」の「治療技術」や「治療材料」は、今のところ「保険治療」の中には入っていません。

「日本」の「皆保険」が「給付」する「治療内容」は、「対症療法」が中心であり、求められる「耐用年数」も驚くほど短いものとなっています。
それに加え、「長期的」な「口腔機能」の「回復」と「維持」という「観点」での対応が十分とは言えないことも厳然とした事実です。
「オーラルリハビリテーション」は、「長期的」な「健康」や「機能」の「維持」には、「不可欠」な新しい「考え方」です。
「給付」されている「治療内容」には、「一口腔単位」で「患者様」の「口腔機能」の「回復」や「維持」をするという「視点」が抜け落ちており、「一歯単位」あるいは、個々の「現症」の「解決」「力点」が置かれているという大きな「問題点」があります。

いつまでも健康な歯を維持しましょう
「限られた予算」の中から、「国民」に「「給付」できる「治療」や「治療技術」には、「財政的」にも「限度」があります。
「口腔機能」の「障害」や「低下」が、「患者様」個人の「生活習慣」「食習慣」あるいは「口腔衛生観念」「起因」する側面が大きいことも事実です。

あるいは、「不自由」はしても直接「生命」を脅かすことはないという旧来からの古くて誤った「認識」が残っていることや、「QOL(クオリティー・オブ・ライフ)」の発想が十分でないために、「最先端」の「高度」な「治療」は、「贅沢」なものとして捉えられていることもあるでしょう。

このような事情から、「現行」の「給付内容」は、致し方がない面もあります。

しかしながら、「一歯単位」「現症」だけの解決では、充分な「口腔機能」の「回復」や「維持」が「困難」であることから考えても、将来的には「一口腔単位」の「口腔機能」の「回復」や「維持」が、「国民」の「健康」や「健やかな食生活」のためにも、延いては「経済的」な観点からも「有利」であるという考え方に変わっていくことは、確かだと信じています。

「歯科治療」の「耐用年数」「限界」から考えても、「オーラルリハビリテーション」による、「根治的」な「機能回復」の延長線上にある「次の治療」へのきちんとした「バトンタッチ」が必ず「必要」となり、「機能維持」の重要な「鍵」となることを知っていただきたいと思います。


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